新宿駅東口から徒歩15秒。個人喫茶店「BERG(ベルク)」がいい感じだったぞ

都内は新宿駅。
待ち合わせ時間は15時。

友人との待ち合わせに5分早く着いた。

到着したことを伝えるLINEを送る。

すると、

「あれ!?今日は16時のはずですよ!?」

 

・・

どうやら時間を間違えてしまったらしい・・
口頭でのやりとりだったので、どちらかが聞き間違えたのか・・

前日に確認すべきだった・・失敗した。

駅構内の小さな喫茶店との出会い

仕方ないので新宿をプラプラすることにする。

しかし特に欲しいものもないし、見たいものもない。
1時間を潰すほどのことが思いつかない。

仕方ないので、30分前に待ち合わせの新宿駅東口に戻ってくる。

 

「やることも無いな・・」

 

ほぼ場所代のドトールやスタバに20分で出るのも、気が乗らない。

 

「このまま、壁際で本でも読むか」

 

と思っていると、

アルタに抜ける地下道の途中に、場違いな名古屋の喫茶店風の店。

生ビール300円
コーヒー200円

という看板。

 

激安だ。

 

「この通路は100回は通ってきたけど、気になったことはなかったな」

 

何か運命的なものを感じた。

1時間早く待ち合わせ場所に来なければ、出会えなかったのだ。

合理的で効率的な生活をしていると、ゆとりがなくイレギュラーなことに出会いにくい。

自分の勘違いによって生まれた、イレギュラーな時間によって見つけた小さなお店。

入らない理由がないじゃないか!!

ベルクの中に入ってみた

近くで店を観察するほど、この店の異様さが分かってきた。

 

安い。

せまい。

種類が多い。

 

何百万人もいる新宿駅利用者に、この存在を気づいている人がいるのだろうか。

 

店内に入ってみた。

予想以上に人が多い。盛況なようだ。

 

どうやら入口で商品を注文して、その場で清算し商品を受け取るシステムらしい。
つまり、スタバ方式だ。

カウンターはせまく、所狭しとメニューと持ち帰り品に溢れている。
まるでキヨスクだ。

メニューはパッと見100種類があり、奥の狭い厨房で3人ぐらいの料理人が、手慣れた手つきでさばいているのが見える。

 

自分の番が来た。

始めて入る店で頼むものはいつも決めている。

その店の看板商品だ。

無数にある東京のお店。

再来店するかどうかは、その店の最高の料理がおいしいかどうかで決めるのが自分のポリシーだ。

 

そこで初来店に関わらず、余裕をもって答えた。

 

「ベルクドック1つ」

 

そう。

コッペパンを切ってソーセージをのせただけのシンプルな料理が、この店の看板メニューなのだ。

スタバでは毎月インスタ映えするメニューを登場させ、注目を集めている。

 

しかしコッペパンである。

 

野菜もなければ、マスタードもケチャップもない。

 

パン on ソーセージ

 

インスタ映えどころか、そもそも食欲を刺激するビジュアルではない。

しかしここは新宿駅だ。

おそらく場所代もお高いのだろう。

駅近の1等地ではなく、駅中の超1等地である。

ここで勝負するのは、相当な競争力がいるはずだ。

 

それが

 

コッペパン

 

興味がわかないはずがないではないか!!!

シンプルなコッペパンに舌鼓

商品は1分ほどで出てきた。

「席に座ろう」

と周りを見回した。

 

女性がコーヒーで談笑している。

サラリーマンがビールだけを注文して飲んでいる。

常連らしき初老の男性もいた。

所せまいしとはられた本の切り抜き。

目立つ派手なポスター。

 

「どこも空いてないな・・」

 

よく見ると、立席がある。

壁にテーブルだけあり、ここで立って食えということらしい。

そもそも後20分ほどしか時間がないのだ。

むしろちょうどよい。

 

とりあえずセルフで入れた水を口に流し込む。

 

「ふぅ」

 

そしてベルクドックである。

ちなみに290円ぐらいだった。

だったというのは、Suicaを使えたので、細かい値段は覚えてない。

格安飲食店では手数料が惜しいため、電子マネーが使えない店は多いが、この店は使えるようだ。

好感度高し。

 

さっそくベルクドックをほおばった。

コッペパンは周りをかるく焼いているらしく、小麦粉の香りが心地よい。

そしてサクッと噛み切れる。

最近はやりの、きどった硬いパンではない。

さらにソーセージも口に入れる。

少々塩辛い。

しかしパンと食べると丁度良いベストミックス。

 

「きどってないが・・・うまい!」

 

それがベルクドックの感想だった。

静かに、そして丁寧に食べていく。

飽きることなく、ペロリと完食することができた。

 

店内の猥雑さと、きどらない味が心地いい。

新宿駅にきらりと光る個性店ここにあり

目の前にお店のポリシーを語ったと思われる雑誌の切り抜きが目に入った。

 

内容を要約すると

「うちはきどったことはしない。きれいな店が欲しいなら他所いきな」

 

と読めた。

都内はインスタ映えしそうな、落ち着かないカフェだらけである。

 

ふらっ、

さくっ、

ふぅ。

 

そんな店は少ない。

だからこそ、こんな懐かしいノスタルジーを感じる汚い店は魅力的に映るのだ。

 

「お客様は神様です」

 

それは客にしてみれば、うれしい対応だ。

しかしその対応はプロ意識と仕事意識に彩られ、本人の人格が分からなくなってしまった。

 

自分は目の前にいる人間に接客を受けているが、

 

それはあなたなのか?

それとも接客中のために作られたあなたなのか?

 

と思う時がある。

誰に接客されているのだろう。

そんな時、こんな汚い狭い雑な店が、ふと心地よさを感じるのであった。

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